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2009年11月 7日 (土)

民主党政権は、スウェーデン型社会主義を目指すのか・その2

民主党政権は、スウェーデン型社会主義を目指すのか・その2

読売新聞2009/11/06朝刊13版p11に「新政権の課題」(論点スペシャル)と言うものがあった。
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その1から記事に続いて‥‥
記事では、「競争力の源泉は」と称して3点を挙げている。

  • 1.職業訓練や教育のレベルの高さ
  • 2.充実したITインフラを有し、研究開発投資水準も高い
  • 3.企業の税負担の低さに加え、労働コストも低いこと
  • ‥‥付け加えて、「法人実効税率は、25%以下と日本(40.7%)よりも格段に低い。他の北欧諸国でもほぼ同一水準だ。」
  • 「また、純所得(賃金+福利厚生費)に個人・企業の税・社会保障負担を加えた労働コストを主要国で比較すると(図)、日本とスウェーデンはほぼ同水準で、‥‥」
  • 「企業の社会保障負担は、支払賃金の31.4%と極めて高いが、日本のような通勤手当、扶養手当などの福利厚生費や年功賃金はない。国家が手厚い安全網と社会保障を提供するので、企業は裸の賃金を支払うだけで済む。」

ここでは、実際の事実が淡々と述べられているのだが、本当のところはどこが違うのハッキリ述べられていない。
「法人実効税率が25%以下」というのは、最近のことで元々は日本と同程度で高く50%位であった。
それが支払賃金の31.4%もの高額な企業負担を強いる上に消費地でもないから国外に出て行く企業が絶えず、それで出て行かないように又、呼び込むように下げられたものである。
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実効税率が下がれば、社会保障負担にも耐えられるというカラクリである。
湯元氏は、「労働コスト」自体は日本ともさほど多くないと妙な主張をしている。しかし、労働者としては手取り、即ち「純所得」が重視される。
従って、良い労働者、研究者、経営者を雇うとするならば「純所得」を高くするために高額な報酬を支払う事になる。そしてこれは大企業しかなしえない。
「企業は裸の賃金を支払うだけで済む。」と書かれているが、中小企業というものは元々「裸の賃金でしかない」。
だから、前述のように社会保障費などの高負担に耐えられる大企業のみが生き残って、日本のほとんどと言って良いほどを占めるような中小企業というものは成立し得ない。
実はそれだけでなく後に述べる別の理由も含めて、日本のような中小企業は成立し得ない社会なのである。
又、日本と労働コストが同じとしても、その内訳は日本は70%強が純所得になるのに、スウェーデンでは55%強であることである。
簡単に言えば、付加価値税も25%であるために、生活物資以外の消費に廻らないと言う事である。

続いて、「倒産、解雇当然」(読売新聞見出し)の項目
「‥‥スウェーデンは倒産も解雇も当たり前に生じる厳しい資本主義競争社会の顔も併せ持つ。病気で休めば2週間後から賃金カット、仕事がなくなれば即解雇となる。健康保険組合もなければ、ブルーカラーには退職金もない。企業に対する保護や補助金などの支援策は最小限で、競争原理がフルに働いている。」

この部分は社会主義国であるという面がかなり強調されているところである。
「健康保険組合」や「退職金」、「企業に対する保護や補助金などの支援策」というのは本来資本主義社会において基本的にあるべきもので、これがないというのが元々の社会主義国の特徴である。

そして、解雇が簡単になされるのは、解雇された翌日から賃金の60%程度は保障され次の雇用先の再就職まで支払われる。だから、働いても働かなくても賃金というものは変わらないと言うシステムだからである。
そして何時までも無職というわけに行かないから、再就職をする。そして、直ぐ又解雇されるなどと言う繰り返しなどをして生活をしていると言う国民もいる。
実際、そんな大企業しか成立しない社会で何故その様なことが出来るのかと言う理由は、この「論点スペシャル」では明らかにしていない。
「その1」で述べたように、人口が少なく実際国民の40%が公務員であるという背景を無視してこの社会は成立し得ない。
そして、尚も中小企業が成立し得ないという条件が次に述べられている。

「それでは、雇用や国民生活の安定はいかに保たれているのか。キーワードは『連帯賃金政策』『積極的労働政策』の二つだ。」
「『連帯賃金政策』とは同一職種なら同一賃金が支払われる仕組みで、職種、性別、正規・非正規、企業規模による賃金格差は小さい。その半面、賃金支払い能力の乏しい低生産性企業は淘汰される。」
「その場合の失業増大に対応するのが『積極的労働政策』だ。」

「連帯賃金政策」という能力別でない「典型的な社会主義的」な賃金システムのために、家内工業的中小企業は成立し得ない。
つい先頃も日本の民主党政権は「マニフェストに『最低賃金を全国平均で時給1,000円を目指す」という数値目標を明記した。』とある。
これは実際どのくらいの年俸になるのかというと税、その他丸々込みで400万円弱と言う数字になる。賞与、手当てなどを省けばもっと少なくなるとはいうものの実際そうはゆかない。
しかしこんな事をスウェーデンはやっていると言うことである。

又、日本では、斬新な又世界に類を見ない技術が中小企業の職人、技術者から生まれているところから見ると、全く正反対な社会であることが分かる。
そして、例の2兆円産業のヤマダ電機やビックカメラなどというものはスウェーデンでは、誕生すら出来ないと言う現実である。
何故ならヤマダ電機というのは、前橋の日本ビクターの工場を辞めた創業社長が街の電機屋から始めたものである。
ビックカメラなどは創業者の新井社長が高崎西口の繁華街に店を開いたとはいうものの、
他に店も全くない路地裏で、他人の家の玄関先を借りて商売を始めた露天商だっただからである。

又、『積極的労働政策』などは日本でもやられていることで決して珍しくない。

その3へ続く

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