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2009年12月16日 (水)

小説「坂の上の雲」を読み直す その1

小説「坂の上の雲」を読み直す その1

NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」が放映されることになって、司馬遼太郎の原作を読み直してみた。
NHKでは第3回、国家鳴動12月13日という番組が放映されたが、秋山好古の結婚のシーンなどは小説にはない。NHK版ではいらぬ脚色やらが多くておやおやと思うところもある。
そこで、なんと言っても逸脱してると思えるのは、秋山真之が士官候補生の時に東郷平八郎(中将・舞鶴鎮守府長官、後の常備艦隊司令長官)と出会うと言うことである。
なぜなら、原作では第3巻の「風雲」のところでわざわざこう書かれている。
「が、難が一つだけある。
東郷が、秋山真之という伊予うまれの少佐とは、ほとんど過去に接触するところがなかったと言うことであった。」
そして、秋山真之と東郷平八郎を会わせるシーンになんと9ページも割いていきさつを述べているのである。
要するに、秋山真之と東郷平八郎との邂逅(かいこう)というのがいかに大切なのかと言うことを紹介しているのである。
しかし、NHK版では清国の艦隊が日本に来たときに、偶然会わせてしまうという妙なことを演じている。
多分後での展開で物語を省く予兆なのだろうが余計なものである。

さて、原作の方の「坂の上の雲」ではあの和田春樹東大名誉教授が「日本、ロシア主戦派の同盟案黙殺 日露戦争直前、新史料発見」と騒ぎ立てたベゾブラゾフは、第2巻で登場するも第3巻ではあまり登場しない。
それはなぜかと言えば、以前のエントリー「ベゾブラゾフ同盟案の眉唾文書・和田名誉教授の歴史的無知」で述べたとおり、極東の権限のすべてはアレクセーエフ提督が極東太守府長官になったことで集約されているからである。
しかも「旅順会議」のあとベゾブラゾフの意見が否決され、次からの御前会議には出席していないのである。
第3巻は、「外交」という部分で日英同盟のことが書いてある。
日英同盟がどのように締結されたのかなかなか参考になる記述であると当時に、当時の英国外相ランズダウンが林董駐英公使に言った言葉が引用されている。
それは日露平和論者であった伊藤侯爵が、ロシアに非公式に訪問した後にランズダウンが批難した部分である。
伊藤侯爵が実際のロシアの行ったときは、ウイッテ伯爵が待ち受け、新任の外務大臣ラムスドルフ伯爵が対応して、伊藤候を歓待してロシアが平和外交を推進しいてる様に見せかけた。
小説では、「シベリア鉄道が、今年中に完成をしない。これが完成するまで開戦は避けるべきであり、それまでは日露は平和であるほうが、戦略上必要だった。」とある
しかし、伊藤侯がロシア側に打診したことに対し、文書で回答してきた。
その内容は、日露戦争直前にロシアが日本に示した回答と何ら変わることはないもので‥‥「伊藤は、失望したと書かれいてる。
その後に言われたのが次の事柄
「忠告しておきますが、ロシア人というのはいつでもその盟約を反故(ほご)にするという真義上の犯罪の常習者です。伊藤候に、ロシアの冬の快適さにあまり浸られないほうがよろしいとおつたえください」
明治35年(1902)1月30日日英同盟は調印された。

ところでも現実主義者の伊藤侯に関連して、司馬遼太郎は政治家評をしている。

「ついでながら、政治におけるまるっきりの現実主義者は二流以下の政治家にすぎず、政治家というよりも商人であるにすぎない。政治家がどのような理想をもっているかにおいて人物の品質がきまるものだが、しかし政治が現実からはなれて存在しない以上、理想の比重が重すぎる人物は、結局は、単なる願望者か、詩人か、それとも現状否定のヒステリー的な狂躁者になりがちである。」

いみじくも、「友愛」を掲げて日本をして「亡国政府」と言わしめた民主党政権というものは、「現状否定のヒステリー的な狂躁者」と言うのがふさわしいとは残念なことなのである。

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