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2009年12月10日 (木)

景気循環の輪を修復することがデフレ経済の薬

景気循環の輪を修復することがデフレ経済の薬

最近「値引きしないと売れない」というスーパーなどの報道がある。
売れないというのは、衣服や耐久消費財などもそうだろう。
その昔から住宅を買うとその中に入れる家具を買い、電化製品を新しくしてという風に経済が廻っていった。
それと同じように、季節が変わるごとに新しい流行の服を買いそろえたり、パーティ用の装いを考えたりという景気循環があった。
景気が悪くても「景気循環論」によって、春が来れば芽が生えるように段々と景気が良くなると言われたものだった。
昔、その景気循環が廻っていた時は、冬場に景気が悪くても春になって不動産需要から土地が買われ、建築が始まり、家具が買われ、電化製品が買われて景気が回復してくる。
すると、需要が喚起されて製造業が活況を呈し賃金も上がって、又土地建物を買えるようになるという循環。
ところが、日本の国民の中にいわゆる「資産」と言うものを「金融、債権」で持つ者と不動産で持つ者が出現していた。
不動産を資産で持つ者というのは、高度成長期のまだ不動産の価格が今から思えばタダ同然と思われた時に買って、市街化区域に指定されたためにその価値が100倍に上がって土地持ちになった。
又は、戦前から土地を持っていたか、農地解放で同じくそれこそ本当にタダ同然で土地を手に入れた様な人達である。
そう言う土地持ちというのは、元々金融資産は余り持っていなくても大した才覚が無くても只土地を持っていたと言うだけで、バブルの頃は大金持ちになった。
一方、そう言う安いタダ同然の時に土地を買うというチャンスに恵まれなかった人達の中の金持ちは、高い給与をもらったり、株で稼いだりして金融資産というところで金持ちになった。
例えば、田舎の秀才が中央官庁の役人になって、天下りを繰り返して金融資産をもって小金持ちになったとしても不動産という点では、小さな「ウサギ小屋」の家が買える程度のものだ。
ところが、古くからの土地持ちは、才覚が無くてもほんの少し土地を売るだけで大豪邸を建て、アパート経営をして遊んで暮らすと思われている。
実際は、土地、不動産も経済の一部であるから、安い時に買って高い時に売ると言うのは経済行為に過ぎないのだが、土地持ちでない人達は「不合理」と感じたらしい。
それで、その「金融資産」を資産として持つ人達というのは、「やっかみ」をもってなのか不動産持ちを攻撃し、バブルの時はその不動産取引まで攻撃するに至った。
そして、その不動産、不動産取引ということに関しては米国経済に指標として入っていな
いのを幸いとして、不動産取引という事柄を無視。
その上、元々土地持ち、不動産持ちという人達は、共産主義が「貴族と見なす敵」と共通していたから不動産取引を攻撃し続けたと言う事は以前述べた。
簡単に言えば、不動産価格を「資産」として価値のないものにすれば、土地成金は成立せず、金融資産を持つ人達、「努力して」小金持ちになった人達だけが本当の「小金持ち」という筋合いである。
そうして、土地持ちの国民を貧乏にすると当然のことながら、金融債権も暴落することになるがそんなことは「知らぬ存ぜず」というのが経済学者などだった。
なぜなら、彼ら高給取りの学者、経済人などの給料は保証されていたからである。

いずれにせよ、バブル崩壊によって景気循環の「輪」が切れてしまった。
景気循環の輪が切れたのが経済学者に分かったのが、失われた10年の末期だというのが日本経済として哀れであった。
その間の「住専処理」を代表とする不動産ヒステリーは、不動産の価値を十分の一に引き下げたが、「土地神話アレルギー」に駆られる学者、評論家は未だに不動産アレルギーから抜けないでいる。

さて、その不動産を価値のないものにすれば、土地需要というものは押さえられ家具を買う者などは無くなる。
従って、家具屋は、ほとんど消滅し残ったのは東南アジアからの激安輸入家具を扱うニトリぐらい。
なぜなら、古い家には高級な家具ではなく輸入品の安い家具で充分というわけである。
電気製品も、最近は性能が良くなって5年は楽々持つし余程のことでもない限り買い換えない。
最近男物の紳士服などスーパーで10,000円もしないが、バブル以前は縫製も簡略化され、生地も単純なビジネススーツがスーパーの2月の最終バーゲンでやっと30,000円だった。
バブル崩壊後でも、3月のスーパーの最終バーゲンで15,000円なら買いという時代があったが、それも最終的に10,000円くらいになった。
しかし、今は最終処分品ではなく最初から10,000円、二着で15,000円だ。
それでも男物の背広など売れない。
なぜなら、それほど必要ではない時代にもなっているし、紳士物に関してはデフレが続いたために10,000円スーツがまだ痛まないで健在である。
そして、その10,000の背広は中国製だが縫製は上級で、布地もそこそこ。
30年前の昔なら5~60,000 円でも買えなかったかもしれない代物。

景気循環の輪が切れるというのは、必要なものではなくとも時期が来れば買っていたものが、電化製品などや衣服が傷まなければ買わないと言う時代になったと言う事である。
先ず、その先駆けが車の長期保有で最近は10年も乗る、乗り潰すなど不思議ではなく、それでは車は売れない。
景気循環の輪が切れれば、金が廻らないからデフレになるというのは当たり前で、本来ならば景気循環の輪を何とかして繋げる必要がある。

そのために金をばらまくと言っても、分割払いでチョロチョロと貰ったのでは砂に水を撒くようなものであることは自明の理なのである。
景気循環の輪を切った原因の不動産の活性化は、不動産を持つことによって「利益」を生むようでないと活性化は望めない。
車という動産を動かすにも、不動産を動かすにも共産主義的な「やっかみ」思想。
「金持ち優遇」批判では、到底おぼつかない。
そして不思議なことに、「金持ち優遇反対」、「相続税強化」と叫んでいる学者、政治家などの人達というのは、普通の一般人より金融資産を多く持っている場合が多い。
彼らが言う金持ちとは粗方「不動産持ち」であって、大会社の大株主は別として、彼ら「金融資産」持ちを示していない。
彼らから見れば、「金融資産持ち」は「金持ち」ではなくて小金持ちなのである。
そして、この小金持ちというのは打倒すべき「敵」ではなく経済の潤滑油として保護すべき存在と思っているのは確かだ。
そして、その「金持ちの不動産持ち」は公官庁、税務署にも持っている事は一目瞭然、隠せないから売ることも出来ない土地に掛かる相続税がガッポリ来るが、金融資産というものは探し当てないとわからないから隠しおおせると言うものである。

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