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2011年1月 8日 (土)

図説・イングランド海軍の歴史を読む その1

図説・イングランド海軍の歴史を読む その1

この著書は、索引まで入れると500ページを超す大書である。しかし、その大半の369ページあまりが「第2部イングランド海軍の戦い」である。
それは、イングランド王国成立からナポレオン戦争の終了後1817年までである。1861年まで言及するのはエピローグである。
従って、話はガレー船から大型帆船による戦争であって、クリミヤ戦争で活躍した蒸気船や同時期に「ティークリッパー」として活躍したクリッパー型高速帆船ではない。
その昔、帆船小説ブームというのがあった。
多少古くはセシル・スコット・フォレスター(Cecil Scott Forester)の海の男/ホーンブロワー・シリーズ(『海軍士官候補生』Mr. Midshipman Hornblower (1950年)~未完・海軍中将・子爵まで出世)と言うのが有名である。
このホーンブロワー・シリーズというのは実は映画(B級?)にもなっているのだが、映画をTVで見たときは原作を知らなかった。
これ以外の読んだ本というのは、
アレグサンダー・ケント「ボライソー」シリーズ (海軍中将で戦死)
パトリック・オブライアン「オーブリー&マチュリンシリーズ」シリーズ
(『マスター・アンド・コマンダー』(Master and Commander: The Far Side of the World)原作)
ダドリー・ポープ「ラミジ艦長物語」(1789年前後からのフリゲート艦艦長(貴族)の話 )
ポーター・ヒル「艦長アダム・ホーン・シリーズ」(ボンベイ・マリーン)
アダム・ハーディ「海の風雲児FOX」(下層階級出身の小男レフテナント(士官))
C・N・パーキンソン「リチャード・デランシー」(無名無縁のレフテナントがコマンダー〈少佐相当レフテナントコマンダーとは別〉としてナイトの称号を得る)
帆船以外
「無頼船長トラップ」シリーズ(第二次大戦)、「海の異端児エバラード」・シリーズ(第二次大戦) 、フィリップ・マカッチャン「キャメロンの海戦」(二次大戦)、同「荒海の英雄ハーフハイド」同など。
その他は蒸気船か第一次大戦~の頃になって、最後にはあり得ない部分で日本(海軍)が登場したりして、そして余りに 出鱈目だったりして止めてしまった。
帆船小説(海洋冒険小説)という分野になる背景は、大方ナポレオン戦争前夜からナポレオン戦争が終わって英国が制海権を取得する頃までの話である。
それ以降は、蒸気帆船になりクリミヤ戦争を背景にした話くらいしかない。
いずれにせよ、そう言う帆船小説を読んだものとしてはその背景として、マルティニク島の海戦(1780年)くらいからナポレオン戦争のトラファルガー沖海戦くらいまでである。
もっとも、ナポレオン戦争の大海戦を背景にしている小説はほとんど無い。
ホーンブロワーは常に、ネルソンのいないところで戦い、ラミジ艦長はフランス革命(大革命)前後に私掠船討伐と敵商船の拿捕という賞金稼ぎを主としていた。

この本を読むと第1部イングランド海軍の形態の部分で、おやおやと言うか大分抜けている部分が多い。
それは何かというと、第2部でナポレオン戦争までの海戦史を説明しているのに、その時代の海軍の序列、階級章、服装が抜けている。
それどころが、海兵隊に関する記述が皆無である。海兵隊というのは、筆者が海上自衛隊出身だから思いつかないかも知れない。
しかし、艦隊の旗艦(戦列艦・戦艦)には大隊長資格の中佐(艦長〈大佐〉以下の階級)と中隊長の中尉が乗船して中隊規模。フリゲート艦(中型艦)でも、最低中尉が乗船して2小隊程度はいたはず。
そして、軍艦から下りて単独行動する(事実上の別の軍隊創設)というのは、ボーア戦争で陸軍を派遣出来なかった義和団事件(1900年)の時である。

又「坂の上の雲」でマカロフ中将を平民出身と間違っている部分で、ウィキペディアには海軍准士官(航海士)の家庭に生まれるとある。
この海軍の航海士はイギリス海軍では1843年に「コミッション・オフィサー」(スタッフ・コマンダー/スタッフ・キャプテン)に、さらに1867年には「ナヴィゲイティング・レフテナント」になっている。
こういうことは当時、瞬時に世界中の海軍に適応されるのが常であるから、マカロフが生まれた頃には、航海士(マスター)は准士官ではなく士官(貴族)になっていると言う事である。

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