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2011年1月 4日 (火)

日本海海戦100年目の真実・バルチック艦隊かくて敗れたり

日本海海戦100年目の真実・バルチック艦隊かくて敗れたり

                              菊田愼典著
この本は、2004年発刊という多少古い本である。
日露戦争に関しては、NHKが「坂の上の雲」を始めた関係から再度注目されているのが現在である。
この「日本海海戦100年目の真実・バルチック艦隊かくて敗れたり」は、日本側ではなくロシア側からの視点でバルチック艦隊をリバウの出港時から時系列で記している。
そして、この本のあとがきに一つの主旨が記してある。
それは、対馬沖海戦に突入したとき、ロシア艦隊戦艦12隻は「単縦陣」で突入したと言うことである。「ロジェストウエンスキー提督の弁明」
日本海海戦の秋山真之中佐が起案した「聯合艦隊戦闘詳報」には、「二列縦陣」とあるが間違いであるという。
この問題は、もう随分前からロシア艦隊戦艦は「単縦陣」で突入と言うことで、歴史的に修正されているのでこの本で述べることでもない気がする。
しかし、ウィキペディアの「日本海海戦」では、「二列縦陣」の様になっているから一部修正されていないのかも知れない。
「神の国に殉ず」の日露戦争偏では、
「バルチック艦隊は単縦陣でも二列縦陣でもない奇妙な陣形をしていた。二列を一列に変えかけたときわが艦隊と出会ったのだ。」
これは、「神の国に殉ず(平成22年11月10日発行)」という小説の歴史部分を「坂の上の雲」を参考にして書かれたどうしようもない記述である。
実は「坂の上の雲」で書かれた「二列縦陣」の説明で「単縦陣に変えようとしてあわただしく信号をあげたり速力の調整していたりしているうちに合戦の時間と場所へ突入してしまったのである。」(「坂の上の雲」・第8巻・「運命の海」)とある。
この記述を要約していると思われる。
しかし、もし「坂の上の雲」の通りだとすると「T字戦法」で三笠が回頭しいたとき、数十発の命中弾を浴びていることの証明が出来ない。
「坂の上の雲」などの記述によればロシア艦隊は、不意に現れた日本艦隊に慌てたように記載されている。しかし、ロシア艦隊は無線の状況からだけでなく、既に日本軍艦に補足されていることは分かっていたから、「不意打ち的」に遭遇というのはあり得るはずがない。
又、「坂の上の雲」では、ロジェストウエンスキー提督は実戦経験が無く、「元来遠距離射撃に長じていない」という勝手な推論を述べているが、「日本海海戦100年目の真実」を見る限り当て外れだろう。
日本海海戦では、艦隊決戦という帆船時代の海戦のような戦いである。
しかも、もしロシア側の大砲の威力がもう少し強く、不発弾も少なければ「T字戦法」で回頭した途端に日本海軍は間違いなく全滅であった。
勝負は時の運であると言うことをしみじみ見せつけられたのが、日本海海戦ではなかったか。
ロシア側の鉄鋼弾は戦艦三笠に50発近い命中弾を浴びせながら、沈没にはならなかった。万が一、火薬庫に命中弾が当たれば一瞬にうちに沈没したはずである。
二次大戦の初期デンマーク海峡海戦(1941年5月24日)、「イギリス戦艦プリンス・オブ・ウェールズと巡洋戦艦フッドは、通商破壊作戦のために北大西洋に出撃しようとするドイツ戦艦ビスマルクおよび重巡洋艦プリンツ・オイゲンをデンマーク海峡に迎撃した。
イギリス艦隊が砲撃を開始して10分足らずのときに、ビスマルクの砲弾がフッドの後部弾薬庫付近に命中した。フッドは爆発(轟沈)し、3分もかからずに沈没した。生存者はわずか3人だった。」(ウィキペディア)
ここでも、プリンス・オブ・ウェールズは喫水線下に命中弾を浴びたものの不発弾であったり、運不運を分けたものであった。

そして、普通砲弾では戦艦は沈まないのが普通である。
撃沈されるのは誘爆などによって火薬庫が爆発するか、喫水線下に砲弾が当たるかである。

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