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2012年4月

2012年4月 7日 (土)

書評「祖父たちの零戦」

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ここのところ本屋へ行くと【Honya Club.com 】というチラシをもらう。本屋という実店舗にもかかわらず「ネットで本を買うなら」と言うのも妙だと思っていた。
それを良く見ると「ネットで買った本を当店で受け取れる」とあって、送料無料ともある。
提携書店での受け取り無料
Honya Club.com

実を言えば最近スーパーセンターのようなものが郊外に出来て、この町中の本屋では欲しい本が見つからない。そうかと言って郊外の巨大本屋に行くと今度は本が汚い。
結局ネットで保存版としてまっさらな本を買ったりすることになる。
それで
【Honya Club.com 】無人島に持っていくならこの1冊
と言う企画があったので、一回読んでしまってから再度購入したその保存版の一冊を紹介したい。
本当は、小説「鬼将軍」(The General・1936年・セシル・スコット・フォレスター(Cecil Scott Forester)を紹介したかったのだが絶版なので「祖父たちの零戦」というドキュメンタリー小説にした。

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進藤三郎少佐、鈴木實中佐(階級は終戦時)という海軍兵学校出身のエリート零戦・戦闘機隊長の話である。
零式艦上戦闘機の実践の戦闘機パイロットがその初陣から参戦し終戦まで生き残るというのは実に希有のことである。
陸軍では加藤隼戦闘機隊の加藤建夫少佐(後中佐・戦死後・少将)が伝説的に有名だが、約10ヶ月で戦死している。
「祖父たちの零戦」本は冒頭から多くの写真があって、この進藤、鈴木氏共になぜか写真好きの人物だった様で実に不思議に感じる。
この本によると、鈴木氏は当時国内で600円(今だと600万くらい?)もするライカのカメラを買ったり、将校の服は自前だったから「飛行服は東京・赤坂の洋服店」、飛行帽は「日本橋高島屋で作らせた特注品」を着ていたという。

要するに朝出勤した同僚がその日に殉職していないと言うことも多く、「明日の命をも知れない日常」から刹那的に金に執着しないと言うことらしかった。

進藤三郎少佐、鈴木實中佐という海軍兵学校出身のパイロットは、陸軍の加藤建夫少佐とは実のところ好対照である。
それは、加藤建夫陸軍少佐が仙台陸軍幼年学校、陸軍士官学校、陸軍大学校卒という天保銭組の将来将軍になることを確実にしていた超エリートだった。しかし、進藤三郎少佐、鈴木實中佐は第60期海軍兵学校では127名中鈴木は91番、進藤は109番とビリに近い成績だったという。

それもこれも成績優秀者は軍艦に乗せられる様だが、最下位に近い成績だと死傷率が高い航空隊への希望はすんなりと受け入れられたという。
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●このようにして昭和7年海軍兵学校を卒業した頃から20年の終戦までの海軍零戦戦闘機隊の通史というのは非常に貴重である。
その中で真珠湾攻撃の(「だまし討ち」の汚名)に対する疑問も述べられ、真珠湾攻撃は奇襲ではなく戦闘準備した軍艦に立ち向かった強襲だったことが明らかになっている。
後半では、戦後に少尉(准尉)以上の将校全てがMacArthurによるパージで公職や会社を追われて苦労する場面や坂井三郎撃墜王の裏話が出てくる。

そして最後に感じるのは進藤大尉が空中戦のドッグファイトのやり方を教わるのは、名パイロットの蝶野空曹長。
ところがこの名パイロットでも、戦闘ではなく対空砲火で撃墜されてしまうという運を感じさせることである。

種々の思いを感じざるおえない一冊であった。

この「祖父たちの零戦」はもうネットぐらいでしか買えない。
Honya Club.comで買って、提携書店で無料受け取りと言うのも中々よろしいかと。

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