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2017年10月25日 (水)

烏に単は似合わない 八咫烏シリーズ 1(2014)の貴族とは?

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「烏に単は似合わない」は、筆者の郷里出身の阿部智里氏が、早稲田大学在学中の2012年に第19回松本清張賞を受賞した作品である。

いわゆる近年多く出されている「ファンタジー」ものも1つである。
「ファンタジー」ものでは、輪廻転生てきに「魔法が使える中世を模した異世界」に前世の豊富な知識を持って生まれ変わるという「善良な魔王」のようなもの。
ハリーポッターシリーズに触発されたようで、魔法学校ものなどのパターンが多い。
その中でのもう一つのパターンには、必ず貴族が出てくる。
中世的なものである以上、王様がいて貴族と平民がいる。
これが欧州のような背景とするとこれに奴隷と教会が加わるというのが普通である。

この「烏(からす)に単(ひとえ)は似合わない」は、日本の平安貴族のような背景をしているところが異世界とは言え特徴がある。
基本は「ファンタジー」ものなので八咫烏という「瑞鳥とされた三本足の大烏」が主人公で、平素は「人のかたち」で暮らしている。
その八咫烏には、「宮烏」「山烏」「馬」という階級があってそれぞれ「王族・貴族」、「平民」、「奴隷」に相当する。
また、「山烏」にも階級の上下の区別がある。
こうなると、日本的な価値観とは相容れない部分がある。
しかし、「烏に単は似合わない」では、冒頭からは貴族である「宮烏」の生活が中心として描かれるために「ファンタジー」を少し忘れるという妙なところがある。

余り「ネタバレ」はしないつもりだが、どうしても中身に触れることがある。
著書の紹介文には
「平安王朝風のみやびな風俗と、日嗣の皇子・若宮と側仕えの少年・雪哉を中心とした魅力的なキャラクターたち、周到に仕掛けられた謎と、日本神話に通じる壮大な世界観」
とある。
「若宮と側仕えの少年・雪哉」は二作目以降の話で、異世界・山内(やまうち)で「人間の姿に変身することが出来る彼らの一族」の妻問婚ではなく、「世継ぎである若宮の后選び」という妙なかたちである。

2



「東西南北」の四家の大貴族から四人の美貌の姫君が、春夏秋冬を模したような御殿に住まう。

「春殿」、東家二の姫・あせび
「夏殿」、南家一の姫・浜木綿(はまゆう)
「秋殿」、西家一の姫・真赭の薄(ますほのすすき)
「冬殿」、北家三の姫・白珠(しらたま)

この中で「東家の姫・あせび」は、東家の「浮雲」の娘で「金烏代(王様)」の今上陛下の后選び時代の「桜花宮春殿」であった。
この「東西南北」の四家の美貌の姫様には、当面の主人公「東家の姫・あせび」のようにいろいろな事情が最後に明かされるがそれまでは全く分からない。

●「春殿」、東家二の姫・あせび--とは、深窓の令嬢として育てられて、音楽の才にたけている。平安貴族の物語にみられる絶世の美女。
冒頭より「あせび」の視点で描かれる。

●「夏殿」、南家一の姫・浜木綿(はまゆう)--とは、一言で言えば「宝塚の男役」。
背が高く、すらりとした美女。
言葉も「宝塚の男役」風。
●「秋殿」、西家一の姫・真赭の薄(ますほのすすき)--とは、典型的な良いところの才色兼備な令嬢風のお姫様。別格の目立つ派手さの美女。
独特な派手な美意識と器用さを兼ね備え、的確な判断と決断力を持つ。
●「冬殿」、北家三の姫・白珠(しらたま)--とは、肌が抜けるように白い平安美人のような絶世の美女。
16-18世紀の欧州では「肌の白さ」が絶対条件だったころを思い出させる。
フランス王アンリ4世の愛妾・ガブリエル・デストレ(Gabrielle d'Estrees・モンスー伯爵夫人・ボーフォール公爵夫人)は、「肌の白さ」で買われたといわれている。

3



さて、「貴族とは?」なのだが、この春夏秋冬の御殿はファンタジーとはいえ「シェアハウス」かと思わせる粗雑さである。
「春殿のあせび」が、ところ構わず出没してしまったりとあり得ない設定は、最近のNHKの時代劇を見るようにもの。
あり得ない設定は、「シェアハウス」そのものより酷い。
物語は、ミステリーそのままに次々と事件が起こる。
不思議な「謎の手紙」の真相は「第五章 再びの春」の謎解きで明かされる。

そして、最終的に妃が選ばれるわけだが・・・

単純に、17世紀の「ロジェ・ド・ビュシー・ラビュタン伯爵*」のフランス騎馬警察裁判所・高等法院等に提訴された「身分違いの結婚」を思い出させるではないか。

*「ロジェ・ド・ビュシー・ラビュタン伯爵(宮廷貴族で有名な・王族の血を引く名門貴族・軍人作家、ド・セヴィニェ夫人の従兄)。

最後に妻になるかと「日嗣の皇子・若宮」に言われてのは、ハリーポッターの物語で言う「純血」の王族の血を引く二人の姫君。
「純血」のクオーターの姫君は、「宿下がり」として排除され、「純血」のハーフで実は王族でもなかった姫君は「糾弾され、罵倒されて」消え去る。
あとからもっともらしい理由が付け加えられて、王族の宮烏でない「純血」の正当性が確保されるがそれは何でもありである。

舞台は平安貴族風だが、実は東洋風でもない西洋のヨーロッパ貴族の価値観になったと言うのは貴族というのを知らない今だからであろう。

フランスのルイ14世の公式愛人・モンテスパン侯爵夫人
(フランソワーズ・アテナイス・ドゥ・モルトゥマール/モルトゥマール公爵令嬢・元マダム-王妃マリー・テレーズ-の侍女)
は、ルイ14世との間に7人の子を儲けたといわれる。

しかし、ルイ15世の公式愛人・ポンパドゥール夫人(Madame de Pompadour)は、平民出身であったために、妊娠すると毒を飲まされて流産させられたといわれている。
そのためにルイ15世との間に子供はいない。

16世紀に貴族の制度・教育が確立されて、血統を維持すると言うのが基本の1つとなった。
ラビュタン伯爵は、娘であるコリニー侯爵(ルイーズ)夫人(コリニー侯爵ギルベール・ド・ランジャック未亡人)と騎士ド・ラ・リヴィエールの子供は多分「さとご」に出したと思われるが文献では不明。

それであの有名なジャン=ジャック・ルソー。
この人物は男妾で、貴婦人との間に何人もの子供をなしたが、全て捨て子にしたといわれている。
昔の日本人の価値観が違うだけでになく、今とも価値観が違うの世界の話だが、何となくそう言う雰囲気を漂わせるとなぜか感じる結末であった。


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