前高祭の頃・小説Syuun の不思議な少年時代-春~夏その39-9 1967年(昭和42年)
前橋高校の1年生の生活に多少慣れ、落ち着いてきたころに2つの赤い冊子が本屋(煥乎堂)に並んだ。
どちらも赤いビニールの装幀で手帳以下サイズで色も似ていた。
そのひとつは「赤尾の豆単」(「英語基本単語熟語集」(1966年:昭和41年刊行))。
大学入試に出る「英単語」という触れ込みだったが、この「赤尾の豆単」で英単語を覚えるのには他の生徒同様に1週間で挫折した。
単純にはほとんど使えなかったし、高校教科書に載っている単語の辞書の代わりにもならなかった。
そして後の受験の模擬試験でもほとんど役に立たなかった気がする。
(電卓もなかった時代に何を元にして単語を集めたのかは不明。)
そもそも国立大学の入試は「難問・奇問」のオンパレードだったし、国立理系受験だったので対象が違ったのかもしれない。
(私立大学受験用??)
初期の「赤尾の豆単」は、小生には試験に出ない英単語だった。
もう一つの赤い手帳サイズの冊子は、「毛沢東語録」である。
前年の昭和41年から始まった騒乱、当初壁新聞という情報でしか報道されていなかった。
その後に中国の紅衛兵が何かを掲げている写真があり「紅衛兵手帳」かと思った。
当時のテレビはまだカラー化は余り進んでいなくて、「毛沢東語録」の表紙が中国の国旗の色と同じ赤だとは思わなくて、本屋に並んでいた赤に目が痛かった。
この毛沢東語録(日本語版)は昭和41年に発刊されたというものの、地方の本屋(煥乎堂)には「赤尾の豆単」同様に置いていなかった。
それがテレビで「毛沢東語録」が紹介されてすぐに店頭にコーナーが作られて販売された。
その頃、毎日本屋・煥乎堂に行って何かを探してくると言うのが日課になっていた。
その(本屋に並んでいた赤に目が痛かった)「毛沢東語録」が販売されたのを見て、立ち読みした翌日、教室に行くと数人がその赤い冊子(毛沢東語録)を必死に読んでいる。
「毛沢東語録」を持っているKにどうだと聞くと、いつになく「目を輝かせて」赤い冊子をかかげ「これは凄い」と大絶賛。
何となく狂気の目をして本場の「紅衛兵」よろしく「毛沢東語録」を掲げる姿は、1966年から始まりまだ「文化大革命」と言われていなかったこの頃の中国に恐怖を感じた。
その後文化祭ころ、古代中国かぶれで後年中国ビジネスに生涯を掛けた別のK君に問いただしたところ、大した評価はしていなかった。
約10年続いた文化大革命は、その否定という結末を今では見ている。
当時の英語の教科書は「イギリス英語」で、現代の英語電子辞書では単語を検索できない。
この教科書の文体も妙なもので、高校卒業後英文を読むこともかなりあったものの一度も出くわしていない。
しかも書かれている内容は、米フーバー元大統領(Herbert Clark Hoover)を誹謗中傷するようなものだった。
フーバー元大統領(共和党・1964年亡)は、元実業家でスタンフォード大学に「フーヴァー研究所」を創設しいるので有名。
この文章を書いた人物は民主党のFDRを支持していたのかもしれない。
この時代は、まだ先の戦争の余韻を多分に残していた。
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前高創立90周年記念文化祭
今は「蛟龍祭」という前橋高校文化祭は、当時は「前高祭」と言った。
この「前高祭」は、隔年6月に行われ前年に「前高祭」が開催されていた。
しかし、この昭和42年は前橋高校「創立90周年」に当たり、その記念事業として文化祭が前倒しされて5月に開催された。
実を言えば、前橋高校文化祭が当時「前高祭」と言うのを高3の時に校門の掲示を見て確認した。
2、3年生に言わせると前年に文化祭行事をしたから、今年は全て1年生が中心になって文化祭をヤレと言われたと実行委員が言っていた。
高校に入ったばかりで他校の文化祭も全く見ていない。
何も分からない中、クラスでは「下駄供養」と実行委員が言い出して、下駄供養をすることになった。
それで「下駄」を並べるので貸して欲しいとの要望。
うちでは玄関に置いてあったほぼ新品の桐の下駄を持っていった。
その下駄が置いてあるところを確認して見守っていた。
しかし、日曜日の文化祭が終わる頃に何と行方不明。
この下駄供養は本当にくだらなかった。
この文化祭、正直言って誰も来ない。
特に女子高生の紺の制服姿など影すら見えない。
2年生に言わせると「昨年文化祭をしているから今年は誰も来ないよ」という。
その誰もいない文化祭が終わる日曜日の午後2時頃、正門の近くに突然次々と自転車が止まってゆく。
自転車に乗っているのは知らない制服の女子高生で、紺のセーラー服に赤い線。
そして行くところが決まっているように脇目も振らずに目指すのは校門から左に逸れ、校舎の南の校庭へゆく。
何かと思っていると2年生の実行委員がクラス展示の方へ来て・・・
「男が足りないから呼んでこい」という。
それで校庭に向かうと知らない制服を着た女子高生がたくさん集まっていた。
フォークダンスをするという。
そして、男は実行委員しかいない。
だから女子学生どうしでペアを組んでいるのがほとんど。
それに校舎に残っていた男どもがフォークダンスの輪に入っても2組ぐらいは女子生徒ペアだった。
その女子学生ペアを割って入り、お義理のフォークダンス。
このフォークダンスが終わった後、知らない制服の女子生徒にどこの高校・何年生と聞くと・・・
「前高の生徒は前女しか興味がないみたいだから・・・」
「制服の目立つところを外して頑張っているのよ!!!」とニコっと笑って言う。
それはよくよく知っている私立高校の生徒の制服だった。
この女子高生は聞いてみれば2年生で、大人びた感じの綺麗系の生徒だった。
なるほど頑張っているのかと周りの女子生徒を見ると、全部同じ偽装制服で同じ高校だった。
このフォークダンスが終わるとあっという間に女子生徒は(蜘蛛の子を散らすように)消え、文化祭で使った不要品を校庭の真ん中で燃やす。
残っていた下駄は全てなくなった。
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