DVD評論2005-6
DVD評論2005-6
マッシュ MASH
製作: 1970年 米
監督: ロバート・アルトマン
出演: ドナルド・サザーランド/エリオット・グールド/トム・スケリット/ロバート・デュバル/サリー・ケラーマン
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
→→→116分
これは、朝鮮戦争時代の陸軍野戦病院の物語である。
確かカンヌ映画祭「グランプリ」を取った作品であったと思う。
この映画は、昭和45年(1970)に東京有楽町のロードショーで見た。
確か、試写会では210分であったと淀川長治氏が述べていた。
しかし、この淀川長治氏が「映画が長い」との鶴の一声で劇場公開は120分に短縮された。……よほど嫌いであったのかもしれない。
よって、全編は日本では見られなかったのである。
ところが、ビデオになってそこから4分もカットされた。
実は、これで物語の重要なテ-マが曖昧になってしまった。
さて、うろ覚えにカットされたシーンを考えてみると
1.手術のシーン多数。その他野戦病院の激務実態描写。
特にドナルド・サザーランド(ホークアイ)などが名医であると言うシーン。介添えの看護婦があまりの鮮やかさに驚く…という場面。
これがないと、ホークアイが病院の中で早くも尊敬を集めるという設定が解らない。
2.韓国人の手伝いの青年の徴兵検査を逃れるシーン。これに続いてこの青年が負傷してこの病院に担ぎ込まれるシーン
3.フットボールの練習のシーン。…院長が経験がない等の「笑えるシーン」
4.日本でのゴルフのシーン但しこれは、劇場版でも未公開。
5.フートボールの試合のシーン多数。
6.その他ホットリップス事サリー・ケラーマン扮する婦長(少佐)に纏(まつ)わる数多くのシーン。
7.そのたコメディとしての戦争の馬鹿馬鹿しさを表した多数のシーン。
要するに、これは「反戦映画」なのであるがさっぱり分からないものになってしまった。
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パットン大戦車軍団 Patton
初公開年月1970/06
監督:フランクリン・J・シャフナー Franklin J. Schaffner
製作:フランク・マッカーシー Frank McCarthy
脚本:フランシス・フォード・コッポラ Francis Ford Coppola
エドマンド・H・ノース Edmund H. North
撮影:フレッド・コーネカンプ Fred Koenekamp
特撮:L・B・アボット L.B. Abbott
音楽:ジェリー・ゴールドスミス Jerry Goldsmith
出演:ジョージ・C・スコット George C. Scottジョージ・S・パットン大将
カール・マルデン Karl Maldenオマー・N・ブラッドリー大将
マイケル・ストロング Michael Strongホバート・カーパー准将
カール・ミカエル・フォーグラー Karl Michael Vogler ロンメル元帥
スティーヴン・ヤング Stephen Young
フランク・ラティモア Frank Latimore
エド・ビンズ Ed Binns
1970年アカデミー賞 作品賞
1970年アカデミー賞 主演男優賞 ジョージ・C・スコット
1970年アカデミー賞 監督賞 フランクリン・J・シャフナー
1970年NY批評家協会賞 男優賞 ジョージ・C・スコット
この作品は、公開された年に新宿のロードショーで見た記憶がある。
さて、これがDVDになってどこが違うかというと、ある事柄について「バッサリ切られている」ということである。
それも意図的としか思えない切り方である。
それは、主人公パットン将軍は強烈な「反共主義者」であったと言うことであろう。
又、ソ連に関しての失言が多くアイクに2回呼ばれて注意されている。…当然カット
新たな筆頭(主席)副官が着任する。(中佐)
この副官は、パットン将軍の失言を防ぐために特別に目付役としてアイク(アイゼンハワー)から派遣された人物である。…この辺の事情カット
アイクは冷戦について明確な判断は示していないが、パットン将軍は映画の中でもそれに対抗しようとした。
しかも、管轄内のドイツ軍捕虜の待遇を改善しその上軍事教練を課し、自前の反共軍団を作り上げていた。……このシーンは当然カット。
この様に後半体制が決まりつつあった場面では全て「反共政策」に傾倒していったパットン将軍の姿のシーンは一切カットされている。
パットン大将はちょっとした接触事故と言われる…自動車事故死ぬ。余りに「あっけない死」であったために暗殺説もある。
……(検証番組がいくつか作られた)
反共の人物であったために、共産圏から要注意人物として見られていたのは事実である。
尚、映画とは関係がないがドイツ系移民のアイクは、徹底的にドイツ人を嫌いドイツ人捕虜をジュネーブ条約の捕虜と認めなかった。
そして、何十万人というド
イツ人捕虜を野じくの状態に置き飢えと病気によって虐殺したのであった。当然赤十字の支援を断って………充分足りている。……隠れた真実である。
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戦争と平和
監督:キング・ビダー
主演:オードリー・ヘプバーン、ヘンリー・フォンダ、メル・ファーラー
公開年:1956年
■英語音声:ドルビーデジタル モノラル
■日本語吹替:ドルビーデジタル モノラル
■字幕:英語/吹替用日本語字幕■スクイーズ(ビスタサイズ)
■カラー■208分(本編)
最近DVDになった旧作品を見てみると大幅カットされている物が目につく。
近年の作品は、初めからDVDとして売ると言うことが前提になっているから余りそういうことはないと思われる。
さて、この「戦争と平和」も予想に反せず大幅カットされている。
1.Natasha(ナターシャ)役のオードリー・ヘップバーンが自殺未遂をすると言うシーンがあると解説にあるのだかこれはない。実際このことがないと後半アンドレイ(公爵)の看病をするというシーンで現実味がない。恋という戦いに敗れたナターシャとナポレオンに敗れたアンドレイ(ロシア)という部分である。
2.アンドレイ(公爵)の領地がNapoleonに占領され破産する。同時にナターシャの兄の竜騎兵中隊(?)が父の公爵などを救い出すシーン。
…というシーン但しこれは未確認。
3.ナポレオンのモスクワ占領の大幅カット
○ナポレオンの侵攻をモスクワの一部の貴族が大歓迎した部分。
○そして、その貴族たちと大歓迎会を延々と催すシーン、この中にアニタ・エバーグ扮するエレン伯爵夫人(主人公ピエール(伯爵)の夫人)も含まれる。
○ナポレオンがどこかオカシイと漸く気づくまでのシーン
4.ナポレオンの退却のシーンの大幅カット
○ナポレオンの退却に従うロシア貴族たちのシーン・退却中の難儀のシーン。
又、貴族が見捨てられてゆくシーン。
○ナポレオン自身→
馬車→馬→人力による輿→馬そり……と変化してゆくのであるが、「人力による輿」の部分が欠落。
○最後尾をコサック騎兵が追い立てるシーン。何回か……
○コサック騎兵が餓死しているエレン伯爵夫人を確認するシーン。
こんなところ。
初めてTVで見たとき、ナポレオンのモスクワ占領で貴族が大歓迎した。
特に、エレン伯爵夫人等の婦人達の狂態というのは異常のように感じた。
当時ロシアでは結構ナポレオン人気というものがあった。映画の中でも若干主人公ピエールがその件について触れている。
又、言葉の件についても疑問に思っていたのであるが、「ルイ14世以降ヨーロッパの貴族の宮廷での公用語はフランス語であった。」という事を思い起こせば簡単に説明がつく。
特に、ロシア貴族の間ではその傾向が強く「ロシア語」をまともに話せない貴族もいたと言う。
尚、軍服はアンドレイなどの緑又は紺の軍服は陸軍。赤の華麗な軍服は竜騎兵。
ドーローホフ大佐(大尉)などの灰色の軍服は騎兵(コサック騎兵)。
これが分からないと作品冒頭でまごまごする。
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ロスト・コマンド 「名誉と栄光のためでなく」
製作: 1966年 米
監督: マーク・ロブソン
出演: アンソニー・クイン/アラン・ドロン/
ジョージ・シーガル/ミシェル・モルガン/
モーリス・ロネ/クラウディア・カルディナーレ/
グレゴール・アスラン
収録時間: 129分 ……今丁度2000円で出てきたので買い時??
ロードショー当初、当時人気のアラン・ドロン主演の映画として宣伝されていたが、アンソニー・クインが主役であることは間違いがない。
淀川長治氏は、「名誉と栄光のためでなく」という題名がふさわしくないと言っていたがその通り内容と全く合わないようだ。
さて、これは話題の映画だった。
何故かと言えば当時はベトナム戦争中でありその中に、1954年の仏領インドシナ(仏印)においての仏軍とベトナム独立同盟(ベトミン)軍・(ベトナム民主共和国(DRV)軍)との戦いが冒頭の舞台になっているからである。
これは、全く当時のベトナム戦争を思わせるものでテレビ放映ではカットされた。
……当時は「ベトコン」というゲリラ組織が存在すると信じられていた。
従いあまりにも実情のベトナム戦争を思わせる描写を避けたと言うことである。
北ベトナムに遠慮したというところであろうか…… なんやら今の日本もにている。
但し、後にNHKが字幕放送ノーカットで放映した。
尚、本DVDのカットシーンは少なく全体として妥当であると思われる。
カットシーンは、アルジェリアゲリラのフランス将校虐殺シーン。又逆にアルジェリアの村民への報復虐殺シーン。クラウディア・カルディナーレ扮するゲリラの美女(アイシャ役)の拷問シーン程度である。全体として1分以内と思われる。
この映画では、二次大戦の戦勝国であったフランスは、国連の常任理事国になり世界的な実権を握ったが、「実際戦場になったために荒廃して非常に貧しかった」という背景を思い起こさせる。
主人公アンソニー・クイン扮する(貧しい農民出身の)ラスペギー中佐は、無駄な戦争…「勝ち目のない戦争」であると趨勢を理解していた。
それ故に圧倒的な中国の支援の元、強力で優勢なホーチミン軍との独立戦争では、無益な戦いをしないように心がけていた。
このため上官の将軍からの受けは悪く、逆に部下からは無駄死しなくて済んだと感謝されたのである。
しかし、戦争が終わり郷里に帰ってみると郷里は貧しく、密輸をすると言った程度しか食べてゆく手段がない。即ち、戦争が終わったからと言って軍人を止めるわけには行かなかったのである。
当時、植民地であった「アルジェリア」ではフランス系住民の虐殺が頻発し、特に大土地所有者の邸宅(有力者)がおそわれて「皆殺し」という有様だった。
丁度、太平洋戦争(大東亜戦争)勃発直前の中国(支那China)そのままではないか。
従って、紛争処理・ゲリラ防衛のための派遣軍が結成されたのである。
ここで、司令部副官であったアラン・ドロン扮する(パラシュート部隊)エスクラビエ大尉(退役して新聞記者)の人力によって、紛争地域のアルジェリア治安部隊の司令官となる。(所属は第10パラシュート連隊)
尚、パラシュート部隊というのは、今で言うコマンド部隊・グリーンベレーに相当する。
さて、エスクラビエ大尉は当時の世相から「人道主義者」「正義派」とかを思わせる。
実際やった行為は、ラスペギー中佐が相当大目に見なければ「反逆罪」に問われかねない行為であり、そのために身方が危うくなるという場面がある。ゲリラには、人道主義は通用しないという側面も描いている。
又、ラスペギー中佐は「将軍になって退役する。」という大目標を掲げている。
「凱旋将軍」が伯爵夫人(Napoleonの幕僚の将軍だったとい系譜の)との生活の条件である。それは上流階級(貴族)への足がかりであり、将来の糧を保障し「夢」(貧困・小作人からの脱出)が実現するという事に繋がるのである。
結局そのために純粋な歯車としての「軍人」となることを選んだのである。
伯爵夫人との関係が、やはりヨーロッパは階級社会が残っていると切に感じている。日本のような悪しき平等主義などは世界中どこにも存在しない。実際平等を掲げている人は、その人物こそが「差別」の対象であるということを歴史は思わせるものである。
尚、映画の舞台となった「アルジェリア独立戦争」は当時「アルジェリア紛争」であって、「独立戦争」であったとフランスが認めたのはつい最近のことである。
何故認めなかったのかと言えば、この映画の中で描かれているようにフランス系住民の虐殺「女子供から赤子まで皆殺し」の暴力からこの事件は始じまっているからである。
即ち、紛争の結果として「独立した」のであり、独立戦争を勝ち抜いて独立したのではないという立場であったからである。
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初公開年月2002/06/22アメリカ153 分
監督:フランク・ダラボン
脚本:マイケル・スローン
出演:ジム・キャリー Jim Carreyピーター/ルーク
マーティン・ランドー Martin Landauハリー・トリンブル
ローリー・ホールデン Laurie Holdenアデル・スタントン
アレン・ガーフィールド Allen Garfieldレオ・クーベルスキー
アマンダ・デトマー Amanda Detmerサンドラ・シンクレア など
1950年~53年の間マッカーシズム・マッカーシー旋風と言われる激しい反共産主義者運動が展開された。
実際は、時の民主党員を攻撃するための武器としてマッカーシーは、上院政府活動委員会常設調査小委員会の委員長に就任する。
対象となるものは、メディア、映画産業、政治家、軍隊など多岐に亘る。
上院政府活動委員会常設調査小委員会は政府機関を対象にしたが、その他は下院非米活動調査委員会と上院内部安全小委員会において行われた。
マッカーシーはその後過激な行動で没落する。
しかし、ベノナ(Venona)と言われるソ連の暗号解読作戦が1995年に公開され(情報公開)、「メリー・ジェイン・キーニー」(マッカーシーにより告発)や、ルーズベルト大統領の特別顧問だった「ロークリン・カーリー」はソ連のスパイだったことが判明した。(確かめられた)
尚、マッカーシーは「暗殺された」という噂もある。「暗殺」は今にして思えば事実だったかもしれない。
共産主義者のスパイが現在確認されている限り政府中枢に多数存在した。
マッカーシズム・マッカーシー旋風が無ければ、今の米国はなかったのではないかと言われるほどである。
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ハリウッドで肩で風を切っていた新進の脚本家・ピーター(ジム・キャリー)は、美人女優をガールフレンド(愛人)にして日々ご満悦の毎日であった。
しかし、大学時代のガールフレンドの密告により共産主義者の嫌疑をかけられ、下院非米活動調査委員会へ召還されることになる。
これは、晴天の霹靂(せいてんのへきれき)であり今までの天にも昇るような生活が暗転する。
それが偶然の事ながらこのピーターが失踪する…自殺と見られた。
しかし、実際は記憶喪失の状態である町に現れたのである。
第二次大戦後アメリカは戦争に勝った。しかし、戦争に負けた町もある。
即ち、町長の息子や有力者の息子など又将来を嘱望していた息子達の大半は戦争に行った後帰ってこなかった。即ち戦死した。
英雄と唄われた息子も只勲章が届いただけで帰還していない。町は希望を失った。
そんな町にピーターが表れた。希望を失っていたハリー老人は英雄(殊勲賞を貰った)ルークが帰ってきたと思った。もう戦争が終わって6年も経っているのに、それほどピーターはハリーに似ていた。
町のみんなは、ルークでないと分かっていながらルークだと信じ込もうとしていた。
それほど事態は深刻だったということである。
尚、ルークと同世代だったピーターも戦争に参加した。しかし、実戦部隊ではなかったために戦場には出ず無事帰還した。そして、戦争に行ったことによって奨学金を貰って大学に優先的に入学した。
…だから英雄ではなかった。
又、華やかなスポットライトを浴びた都会の生活よりも田舎の「虚実のない堅実な生活」の良さを彷彿とさせる作品。
結構感動ものの映画であった。
今にして思うのは、マッカーシズムは過激すぎて悪かったと述べている感じであるが実際はこれでも甘かったと言うのが実情である。
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カサブランカ(1942)Casablanca
製作年 : 1942年
製作国 : アメリカ
配給 : セントラル・モーション・ピクチュア・エキスチェンジ
Humphrey Bogart ハンフリー・ボガート(Rick)
Ingrid Bergman イングリッド・バーグマン(Hsa_Lund)
Paul Henreid ポール・ヘンリード(Victor_aszlo)
Claude Rains クロード・レインズ(Capt._Louis_Renault)
Conrad Veidt コンラート・ファイト(Major_Strasser)
アカデミー賞では8部門でノミネート、作品賞、監督、脚色の3部門受賞。
映画の内容は書かない。あまりにも有名な映画だからである。久々DVDを買ってついつい見てしまった。
エルザ役、後の大女優Ingrid Bergman イングリッド・バーグマンも当時は無名のスウェーデン女優にすぎず、リック役も当初Humphrey Bogart ハンフリー・ボガートではなかった事を最近知った。又、もともとは、「カサブランカ」ではなく「Everybody Comes to Rick's」のタイトルをだったという。
さて、制作年をみると1942年である。
1940年ドイツ軍によりパリが占領され、ヴィッシー政府(ペタン元帥1940_7~44_8)下のフランスである。植民地その他は占領されず一応その領土は保全されたので、米国を含む世界から承認された。
1941年12月Pearl Harborであるから背景は、米国はまだ中立国で欧州戦線に参戦していない。従って、要危険人物の米国人であるリックに対してドイツ側も非常に慎重に扱っている。
オーバーロード作戦(Operation Overlord)と呼ばれるノルマンディ上陸作戦は、1944年6月6日である。
又、背景となったフランス領モロッコのカサブランカは、ヴィシー政府の完全な主権がおよぶ植民地である。
しかし、実際に亡命ヨーロッパ人が沢山集まったのはポルトガルのリスボンだったと記憶する。ポルトガルは中立国であったがやはりドイツに圧迫されて中々ビザが取れなかったという。……この辺結構当時の日本領事館が活躍しているが。
尚、フランスは、戦後この4年間も続き世界から承認されたヴィッシー政権を認めず、自由フランス軍を率いたシャルル・ド・ゴール(Charles de Gaulle)准将(予備役)を首班とした。
……確か帽子に☆印が一つであったような記憶がある。後に少将。
ところが、ド・ゴール将軍という人物は当時誰も知らず、陸軍でも鼻つまみ者で「干されて」予備役に回されてしまったような人物である。又当然当時は軍歴もあまり知られていない。
すこし横道をそれたが、
イングリッド・バーグマン当時は28歳程度だったと思う。
昔この映画を見たとき随分と「知的で綺麗な女優さん」というイメージがあったが、……基本的には変わらないとしてどこか最近見ると私が年を取ったからか……違うような印象がある。
それは、北欧系・ゲルマン系というか肩幅が広い。結構大柄な人なのではないかと感じたのである。
よって、リックの元恋人という設定の部分では違和感がありすぎるような気がする。
もう少し華奢(きゃしゃ)な女優さんであっらなあと思う。
ボガートのラストの有名な決め台詞
「Louis, I think this is the beginning of a beautiful friendship.」
「ルイス、これが美しき友情の始まりだ。」
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1939年度のヴェネチア国際映画祭・ビエンナーレ賞(ゾルタン・コルダ)を受賞。
原作・A・E・W・メーソン(英)の小説の映画化。
1929年の映画化と最近2002年「サハラに舞う羽根」もこの作品のリメイク版。
時代背景は、19世紀末のアフリカ・スーダンでの回教徒の叛乱鎮圧を背景にしている。
主人公は、代々将軍を輩出したFaversham家という貴族の末裔であるエリート将校・ハリー(Harry Faversham)である。
しかし、あまりにも父が偉大な将軍であり先の戦争であるCrimea(クリミヤ)戦争においてもその功績は偉大であった。
その反発もあってその父が亡くなったあと、以前の英国軍が全滅し…誰一人帰ってこられないであろうと悲壮感漂う…このエジプト出征においてこの出征を忌避する。
丁度、父の部下であった将軍の娘エスネ(Ethne Burrougls)との婚約もまとまり順風満帆であったころであった。
それに対して親友でもあり、戦友の3人の将校から“臆病者の証”を意味する白い羽根を送りつけられ絶交される。
しかもこの「白い羽根」は実際は単なる絶交だけではなく、「自殺」しろという意味合いも持っていた。
そしてその「白い羽根」の意味を聞いた婚約者のエスネも四枚目の羽根を渡すことになる。
しかし、そのあまりにも美しい婚約者エスネからの絶交が決断を「吹っ切らせる」きっかけとなる。
ハリーはサハラ砂漠へ出かけた。
ハリー・Harry Faversham/C・オーブリー・スミス/ C.Aubrey Smith.
エスネ・Ethne Burrougls/ジューン・デュプレ/June Duprez
何回も映画になっているとおり物語としては、中々面白い。
女優さんも昔の映画は「単純に美人」なので、この婚約者と一緒にいたいなどというのは現代でもありうると納得させるものである。
リメイク版の「サハラに舞う羽根」と比べるとリメイク版の方が複雑で面白い気もするが軍隊を描くとなると圧倒的に「四枚の羽根」である。
まず大きく違うのは、何といっても軍人のキビキビしたところだろうか。
普段長いサーベルを下げていてそれをスマートに扱うなどというのは現代では出来そうにない。
その上遠征軍が川を「帆を張った舟」や「蒸気船」で遡るというのは圧巻である。
軍服もその時代の海外派兵軍のカーキ色の軍服になっている。
「サハラに舞う羽根」……では赤の上着を着用。
1900年の義和団事件の直前海兵隊がカーキ色の軍服になっているが、正規軍はそれ以前から変わっている。
……これを見ると日露戦争の時の日本軍の紺の軍服というのは随分と時代遅れであった。
又、映画の冒頭Burrougls退役将軍のクリミヤ(Crimea)戦争(1854-56)での「バラクラバの戦闘」に関する話が出てくる。
映画「遥かなる戦争」・The Charge of the Light Brigade
これは何回も映画にもなっている話で、無能な司令官のために「軽騎兵旅団がロシア軍砲列に向かって突撃してしまう」という話である。
当然全滅するわけであるが、後にこれが「栄光の勝利」と言うことに化けてしまうから不思議である。
又、女優さんについて思うのは、「サハラに舞う羽根」のエスネEthne Burrougls役の女優さんが可愛くない。
エスネは貴族であるし上流階級の婦人である。
余り庶民的な顔というのはがっかりするものである。
主人公の女優が美人でないというのは、ブラットピットの映画「トロイ」でも言える。
即ち、トロイのヘレンが余り美人ではないのである。
トロイのヘレンは、神話では世界一の美女という事である。
それが何かひねた「お姉さん」では夢が壊れるというものである。
「四枚の羽根」のエスネ/Ethne Burrougls役のジューン・デュプレ/June Duprezという女優さんは当時としては所謂「可愛い子ちゃん役」でいろいろな映画に出ていたようだ。
この映画では、特に乗馬服の時が一番綺麗だった様な気がする。
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