「美人さん」が行く、「美人さん」と呼ばれた少女の一生
●序章1・大正15年(1926年)
大正15年(1926年)4月朝、東から小道を持田駅(秩父鉄道)に向かう少女がいた。
黒のブーツを毎日磨いても汚れてしまうと言う道を歩くのは、熊谷高等女学校(旧制)へ通学する女学生と直ぐに分かる。
熊谷高等女学校の制服は昭和3年制定で、姿形は映画の中の「ハイカラさん」と同じような今卒業式でよく見る和服に袴姿である。
この少女を見かけた人は「美人さん」と呼んだ。
この少女は、元持田村の町長の小宮三姉妹といわれた中の1人で、元大名主でまわりの土地はほとんどこの小宮家の所有だった。
熊谷高等女学校(旧制・現・埼玉県立熊谷女子高)は、明治44年(1911年)に埼玉県で2番目に創設された(旧制)高等女学校で、その開校に併せて秩父鉄道(熊谷-行田間)が敷設されている。
その毎日見る「美人さん」を憧れと羨望の元、毎日遠くから眺めているのを楽しみにしていたという証言がある。
その後、この少女はこの熊谷高等女学校を昭和6年に首席で卒業して、東京の(旧制)専門学校へ進学する。
その専門学校を卒業したときの写真がある。
また女学校時代は、軟式テニスのダブルスの選手で第4回、5回、明治神宮競技大会(通称・神宮・今の国体に相当)に出場している。
それなので女学校時代でも有名人だったという。
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